後期高齢者医療応能負担へ

75歳以上の高齢者の医療費支払いが急増しないようにする配慮措置が9月で終了した。3年間に一定の所得がある層の窓口負担を1割から2割に引き上げる歳、増加額を月3000円までとしていた。現役世代の保険料抑制には改革の深掘りが欠かせない。

2割負担の対象は住民税の課税所得が28万円以上で、世帯内の75歳以上全員の「年金収入とその他の所得」が合計320万円以上、単身世帯なら200万円以上の場合だ。支払額の急増を避けるため、外来に限って負担増を月3000円までに抑える配慮措置が導入されていた。

厚生労働省によると2割負担となるのは23年度時点で388万2000人ほどで、後期高齢者医療制度の被保険者全体の2割に当たる。このうち300万人ほどが配慮措置の対象者とみられる。
例えば外来医療費が月5万円の場合、2割負担なら本来は窓口で1万円を支払う。1割負担だった時から5000円増える。上限を3000円とする配慮措置によって実際の負担は8000円に抑えられてきた。これが10月から1万円になる。

後期高齢者医療制度の財政は患者の窓口負担を除くと、国と地方の公費が5割、現役世代らが担う支援金が4割、残りを75歳以上の保険料で支えている。厚労省が8月に公表した23年度の財政状況によると、支援金は7兆1059億円と3年連続で過去最高を記録した。24年度の概算医療費は総額が48兆円と過去最高を更新し、75歳以上が初めて4割を超えた。

医療や介護の現場からはインフレや賃上げ原資の確保に向け、年末に控える診療報酬改定での大幅な上乗せを求める声が強い。配慮措置終了は一里塚に過ぎず、一段の改革は不可欠だ。政局の混乱に時間を取られれば社会保障の持続はおぼつかなくなる。

(参考 日経新聞 令和7年9月5日より)