一般社団法人ペットフード協会の調査によると単身世帯のうち犬を飼っている割合は、60代男性で3.6%、60代女性で5.2%だった。突然の入院や介護施設への入所、あるいは亡くなったとき、残されたペットの行き先が決まっていなければ命に関わる深刻な問題となる。
身寄りがない場合は、最悪の場合、最悪の場合は殺処分の対象になりかねない。2013年の改正動物愛護管理法施行以降、行政は原則として、飼い主の事情で手放されたペット引き取らない方針をとっており、死ぬまで飼い続ける「終生飼養」の責任はより重くなった。
だからこそ飼い主が元気なうちに備えておくことが大切である。最もシンプルな方法は、信頼できる家族や友人に頼んでおくこと。世話に必要な資金をどのように託すか決めておこう。口頭だけでなく書面で合意内容を残しておくと安心だ。
ペットの飼育費用には、フードやトイレ用品のほか、ワクチン接種や健康診断などの医療費、トリミングやシャンプーなどのケア費用などが含まれる。ペットの年齢や健康状態によっても費用は異なるため、かかる費用を洗い出しておくと備えやすい。
遺言書やエンディングノートにペットの行き先や託す資金の金額を記す方法もある。例えば、「〇〇にペットの世話を依頼し、△△万円を遺贈する」といったいわゆる「負担付き遺贈」だ。ただし、実際の飼育が確実に行われる保証がない点は注意したい。
身近に託せる人がいない場合は、第三者に「ペット後見」を引き受けてもらう選択肢もある。後見人となる人や団体と飼育方針、災害時の預け先、飼育費用の負担に関する事項などを決める。その内容を公正証書にすると後々のトラブルを防ぎやすくなる。
ペット後見を支援する民間の互助会もある。修正飼育にかかる資金などを残した会員向けに万一の際の引き取りや譲渡を支援する。
「ペット信託」という仕組みもある。飼い主のもしもの時に備えて、飼育費用をまかなう資金を第三者や団体に預け、お金の管理をする人(受託者)を決めておく。万が一の際、受託者が信頼できる世話人(受益者)に資金を渡し、ペットの世話を任せる。信託監督人が原則付くため、飼い主が亡くなった後もペットが安心して暮らせる体制を作れるのがメリットだ。
NPO法人ピーサポネットが手掛けるペット信託サービス「ラブポチ信託」は、生命保険で飼育の資金をまかなってもらう仕組みで、終生飼育してもらう施設探しも託すことができる。保険に加入できない場合には、遺言書を使って遺産を託し、同様に施設探しもしてもらうこともできる。
飼い主だけでなくペットも高齢期を迎えている場合には老犬ホームや老猫ホームといった終生預かり施設の利用も選択肢となる。
外出先で自身にもしものことがあった時のために「ペットが自宅にいる」と記した緊急連絡カードを携帯するのも有効だ。発見の遅れを防げる。
備えの方法は様々だが、「誰にペットを託し、どのように資金を用意するか」を事前に決めておくことが大切だ。ペットが行き場を失ったり、親族間でトラブルになったりしないよう備えをしておくことが大事だ。
(参考 日経新聞 令和7年8月16日より)
老後にペットを守る備えとは
