隙間時間を使って働くスポットワーク(スキマバイト)市場の拡大は、労働法や安全管理の問題が未整備なまま進行している。これを受けて、このほど厚生労働省はスキマバイトに関する労働者・使用者向け冊子を作成した。冊子では労働契約の成立時期、使用者都合による休業手当、賃金・労働時間の確定の3点を明確にしており、労働契約成立後のキャンセルについては「事由が合理的であり、労使対等の原則を踏まえ、スポットワーカーにのみ不利な内容にならないよう留意する必要がある」と強調。経済・業界団体へ周知を要請した。これまで腰の重かった政府も、ようやく動き出した格好だ。
だが、現場では、まだいくつかの課題が残る。例えばフォークリフトにはカウンター式とリーチ式があり、運転要領は異なるにもかかわらず、フォークリフト作業の求人において型式明記は少ない。労働者が現場到着後、経験の少ない型式であった場合でも、キャンセルすることで他の仕事への応募資格を失うことを恐れ、不慣れな作業に従事する懸念がある。
さらに、リーチリフトはメーカーにより操作レバーの配列も異なる。配列の異なる機種は経験者でも円滑な作業が困難だが、スキマバイトでは事前練習時間もない。こうした問題があるため「業務開始前にフォークリフトの技量確認を実施します。結果次第でお帰りいただく場合もございます。あらかじめご了解ください」という注記を記した求人を出す会社もある。この場合、厚労省の見解では、キャンセル事由は合理的とされ、スキマバイトワーカーに不利ではないと判断されるのだろうか。
安全面では「雇い入れ時教育」にも課題がある。ある企業の工場のスキマバイト求人では、アプリ上に就労前に見ておくよう「安全衛生動画」がアップされているものの、内容はアプリ運営会社作成の汎用的なものである。重大な労働災害発生の危険性をはらむ製造・物流業等の現場において、実効性のある雇い入れ時教育が担保されているのか疑問が残る。
今後も拡大が予想されるスキマバイト市場において、労働者保護と安全確保は不可欠であり、ルール作りと運用が急務だ。
(参考 日経新聞 令和7年9月17日より)
スキマバイト、労働環境を整えよ。
