中国住宅価格、再び低迷

中国国家統計局が9月15日発表した8月の主要70都市の新築住宅価格は平均で4年前のピークから11%下落した。2024年秋に支援策を打ち出したが市況は再び低迷している。住宅の需給を示す価格が下がると、土地収入を頼りにする地方財政も圧迫する。

主要70都市の価格変化率の平均をみると、中国の住宅価格は21年8月にピークを付けた。政府がバブル抑制のため不動産金融を引き締め、不動産開発大手の中国恒大集団などが資金繰り難に陥った時期に当たる。

新型コロナウィルスの感染封じ込めを狙うゼロコロナ政策が終わった後の23年2月には経済活動の正常化に伴って住宅価格も上昇した。「住宅は待てば値下がりする」との予想や将来不安から6月に再び下落に転じた。

平均価格の落ち込みは都市の規模が小さいほど大きい。25年8月は中小としが多い「3級都市」で14%と全体平均を上回る下落率だった。省都クラスの「2級都市」は8%、北京、上海、広州、深圳の「1級都市」は2%とそれぞれ低下した。

政府は24年秋に優良な住宅開発案件を選定して銀行融資を促す制度を拡大した。住宅ローン金利の下限を撤廃し、融資済みローン金利も新規ローン並みに下げるなど追加の支援策を打ち出した。
北京や上海を含む1級都市で支援策の効果もあり24年11月に住宅価格は上昇に転じた。効果が一巡したことなどにより、25年5月以降は再び下落基調となっている。

中国では消費者がマンション完成前に売買契約を結ぶ予約販売が一般的だ。購入者は工事竣工前に住宅ローンなどの返済を始める。住宅不況で資金繰り難に陥った不動産開発会社による工事中断で引き渡しが遅れ、入居できない例が相次いだ。
近年は引き渡し遅延のリスクがない物件完成後の販売を好む消費者が増えている。1〜7月の新築販売面積は24年同期より4.1%少ない。予約販売が1割減だったのと対照的に、完成後販売は1割超増えた。

完成後販売は消費者にリスクはないが、開発会社には資金回収までの時間が長くなる欠点がある。完成物件が売れ残れば在庫となってしまうため、販売価格にも下押し圧力がかかりやすい。販売方式ごとに1〜7月と主要70都市で価格のピークをつけた21年1〜8月の平均住宅価格と比べると予約販売はわずかな低下にとどまったものの、完成後販売は1割超下がった。完成後販売の増加は住宅全体の価格低下にもつながっているとみられる。

中国は土地が国有制で、地方政府が不動産開発会社に使用権を売却してきた。マンションの需給を示す価格が大きく下がると使用権の価格も低下して地方財政を圧迫する。1〜7月の地方政府の土地売却収入は前年同期を5%下回った。

中国政府は旧市街の再開発など都市化を推し進め、政府主導で需要創出を急ぐ考えだ。住宅在庫の解消や販売促進に向けた新たな対策は乏しく、住宅価格の低下に歯止めがかかりそうにない。

(参考 日経新聞 令和7年9月17日より)