置き配、安全と利便性両立

玄関前に荷物を届ける「置き配」の普及へ、マンションのオートロックを複数の宅配事業者が解除できる仕組みづくりを政府が後押しする。中小や委託先など大手以外を含む業界横断の連携を促す。敷地に第三者が立ち入ることへの住民の不安は根強く、安全と利便性を両立させながら、持続可能な宅配網をめざす。

国土交通省が2026年度予算の概算要求に関連事業を盛り込んだ。複数の事業者が解錠システムを共同利用する民間の取り組みを支援する。配送情報の照合や伝票の仕様を共通にすることを念頭に置く。

専用のマンション解錠システムの活用を念頭に置く。配達員が持つ端末で荷物のバーコードをスキャンすると、ネット経由で住民が置き配を希望しているか照合し入り口を解錠できる。管理組合などの同意を得て、マンションに専用装置を置く必要がある。個別マンションへの補助は現状で想定しない。

SNS上にはオートロックを越えて、マンション内に入れるようになると誤解し、不安視する声がある。外部から人が入ることによる犯罪を警戒する心理をふまえ、中野国交相は9月16日の会見で「防犯やセキュリティは大前提」と強調した。

国交省は6月から宅配の効率化に関する検討会も開き、置き配を対面受け取りと並んで標準的なサービスだと運送契約に位置づけることを議論している。秋にも結論をまとめる。置き配を後押しする背景には、都市部を中心に再配達率が高いことがある。国交省の調査では25年4月の大手3社の再配達率は9.5%で、21年の11%程度から微減にとどまった。

新型コロナウィルス禍を経て電子商取引(EC)市場は拡大を続け、23年度の宅配便取扱件数はやく50億個に達した。1人あたりの月間配達個数は19年度と比べて3割ほど増えており、配達効率の向上が喫緊の課題だ。運転手不足は深刻さを増す。宅配便ドライバー数は23年度は11万6114人で19年度から7%程度減った。24年度から運転手の残業規制が年間960時間までに制限された物流の「2024年問題」と重なり、不足に拍車がかかっている。

宅配事業者によるオートロック会場の障壁となってきたのが事業者の多さだ。宅配大手だけでなく、アマゾンジャパン(東京・目黒)など大手通販の委託で配送に携わる事業者の参入も相次ぐ。軽自動車による運送事業者数は24年に23万4625と19年から4割弱増えた。

一部の事業者しか使えない解錠システムでは効果に限界がある。今後、人手不足により事業者間の協業が増えれば、システムが共通化されていることの重要性は高まる。国が主導して業界横断の仕組みづくりを求める声が強まった。

(参考 日経新聞 令和7年9月21日より)