12月2日「マイナ保険証」利用原則に

マイナンバーカードに健康保険証の機能をもたせたマイナ保険証の利用が12月2日から原則となる。医師や薬剤師らが患者の受診歴や処方薬の情報を確認でき、重複投薬などを妨げる。マイナ保険証の利用はまだ低調だ。従来の紙やプラスチックの保険証は同月1日に「有効期限」を迎えるものの、厚生労働省は2026年3月末まで暫定利用を認める。

政府は医療DX(デジタルトランスフォーメーション)として、医療機関や介護事業所などがバラバラに管理してきた患者情報を集約する新システムを構築する。基盤となるのがマイナ保険証だ。従来型の保険証は24年12月に新規発行が停止した。大企業の会社員が入る健康保険組合、自営業者らの国民健康保険など加入先を問わず、25年12月2日以降はマイナ保険証の利用が原則となる。

マイナンバーカードを持っていなかったり、保険証の利用登録をしていなかったりする人もいる。当分の間、病院などで「資格確認書」を提示すれば今まで通り保険診療を受けられる。マイナ保険証を持っていない人には申請なしで資格確認書を交付する。26年7月までは75歳以上が入る後期高齢者医療制度の加入者にも配る。障害があってカードの利用が困難な人らは加入する健康保険組合などに申請すれば入手できる。有効期限は各保健の運営者が決める。

まだマイナ保険証の利用は低調だ。利用登録を済ませた人は10月時点で87.8%いるのに、医療機関などでマイナ保険証を利用した割合は37.14%にとどまる。厚労省は26年3月末までは従来型の保険証でも診療を受けられる暫定措置を設けた。病院などが保険証の番号をもとに医療保健への加入を確認できるのが前提だ。国はマイナ保険証の利点をアピールし、移行を促す。

最大のポイントは、患者が適切な治療を受けやすくなることだ。医療機関や薬局が患者の過去の受診歴や処方薬などを把握できれば、重複する投薬や飲み合わせの悪い薬の処方を避けられ医療の質が向上する。医療情報の提供は本人の同意が前提となる。病院などで過去の医療情報を提供することに同意した場合に限り、医師や薬剤師が過去5年分のデータを見られる。

医療費の自己負担を一定額までに抑える高額療養費制度が、事前の手続きなしで利用できるのもマイナ保険証のメリットだ。これまでは高額な医療費を一時的に自己負担したり、限度額適用認定証の申請をしたりする必要があった。

確定申告で医療費控除を申告する場合は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)と専用サイトの「マイナポータル」を連携させてデータを自動入力できる。領収書を保管する手間が省ける。

消防庁は10月、救急隊員が搬送者のマイナ保険証から既往歴や薬剤情報などを読み取って応急処置や搬送先選びの参考にする「マイナ救急」の実証事業を全国で始めた。すでに一命を取り留めるのに役立ったケースも出ている。個人が特定できないようにした患者データを製薬会社などが二次利用し、医薬品などの研究開発が促進される面もある。

マイナンバーカードを保険証として利用登録するのは難しくない。マイナポータルやセブン銀行のATMなどで申請する。9月からスマートフォンに搭載する「スマホ保険証」の利用も可能になった。スマホを携帯するならカードを持ち歩かずに済む。スマホ保険証が使える医療機関や薬局は11月時点で約5万4000カ所あり、厚労省のホームページで確認できる。

(参考 日経新聞 令和7年11月30日より)