中古戸建て、補修費の目安は

中古戸建て住宅に関心が集まっている。新築マンションなどに比べ価格上昇が限られるためだ。2025年4〜6月の首都圏の中古戸建て制約件数は5504件と前年同期比52%増で6四半期連続の増加だった。24年12月にリクルートが全国の購入検討者に検討中の住宅の種別を聞いた調査でも、中古戸建てが30%と19年から7ポイント上昇。新築マンション(28%)や新築戸建て(29%)を上回った。だが、中古物件は欠陥や不具合が懸念材料だ。購入後に発覚し、想定外の出費がかさむ事がある。そこで利用が急増しているのが、専門業者が建物・設備の状況を事前に調べる住宅診断サービスだ。利用すると、購入の判断や修繕費の見積もりをしやすくなる。住宅診断大手のさくら事務所(東京・渋谷)では、1〜6月の受注件数が前年同期比47%増えた。

「建物に致命的な欠陥がないことが決め手となった」埼玉県の自営業男性Aさん(64)は7月末、住み替え目的で静岡県伊東市の中古戸建てを購入した。築14年、延べ床面積約140平方メートルの2階建てで1780万円。予算は補修費込みで総額2000万円程度だったAさんは、専門業者に住宅診断を依頼。大きな不具合があれば補修費が膨らみ、購入見送りにつながりかねなかったからだ。結果は外壁や屋根に経年劣化、断熱材の一部に欠損があるものの、基礎など主要部分は異常なし。補修費は外壁や屋根の修理に約200万円など全体で300万円強の見通しという。「総額は2000万円をやや超えるが、許容範囲」とAさんは話す。

住宅診断の基本は、外回りや室内の目視によるチェックだ。対象は外壁、屋根など雨水の侵入を防止する部分と基礎、柱など構造上主要な部分だ。屋根裏や床下は点検口からのぞき込み「見える範囲で雨漏りの跡や土台の亀裂といった劣化を調べる」と住宅診断を手掛けるテオリヤハウスクリニック(東京・練馬)では話す。

首都圏で成約した中古戸建ては、築31年以上の比率が今年1〜6月で30%を超える。築年数経過や相次ぐ自然災害を背景に、見える範囲だけでは不安な人は多い。屋根裏や床下に入り、点検口からの目視では届かない範囲も調べるケースが中心になっている。住宅診断を手掛ける不動産コンサルティング、アネストブレーントラスト(東京・新宿)によると「屋根裏では部材を固定する金物の緩みや雨漏り跡、床下は断熱材のはがれがよく見つかる」という。

住宅診断には利用者も立ちあい、3〜5時間程度で終わるのが一般的。「購入後の改修計画や入居後の維持管理も助言する」(さくら事務所)料金体系は雨水防止と構造上の主要部分のほか水回り設備の確認などを基本セットとし、天井裏や床下への侵入はオプションとする例がある。基本セットとオプション2つで9万円前後から13万円前後が一つの目安だ。

住宅診断は購入契約前の実施が望ましく、実施には売り主の同意が必要となる。不具合が見つかって値下げを要求されることなどを懸念して拒否する売り主も少なくないという。契約した後に欠陥が見つかれば、売り主が不動産会社なら最低2年間の保証があるが、個人は3カ月が一般的だ。購入後のトラブルを避けたいのなら、「売り主が診断を拒否する物件は購入を見送るのが無難」とファイナンスシャルプランナーの有田氏は助言する。

(参考 日経新聞 令和7年10月4日より)