2026年度税制改正が大詰めを迎えている。物価高をふまえ、家計の負担軽減を目的とした減税策が目立つ。増税は高所得者対象が中心で、企業向け政策減税では削減が十分には進まなかった。来週の大綱決定に向け、今後は野党との協議が本格化する。
自民党税制調査会は12日、大部分の項目について改正案をまとめた。会議の冒頭で小野寺五典勢町会長は「いよいよ大詰めが迫ってきた。これまで多くの部分について合意を得ることができた。」と話した。来週には残りの項目も固め、税制改正大綱を決定する。
個人や家計に対する減税策が目立つ。住宅ローン減税では購入者が増えている中古住宅への支援策を拡充する。中古で減税対象となるローン限度額を最大3000万円から4500万円に引き上げ、適用期間は10年から13年に延ばす。少額投資非課税制度(NISA)のうち、長期の資産形成に適した投資信託が対象の「つみたて投資枠」をゼロ歳から18歳未満にも解禁する。年間投資枠は60万円、総額は600万円を上限とする。従来は18歳以上のみが対象だった。
企業に大規模な設備投資を促す減税策として、投資の規模や収益性の条件を満たせば、投資額の7%を法人税から差し引く制度を設ける。全業種の対象となる。原価償却費を一括に計上できる「即時償却」も選べる。物価上昇を踏まえ、長年据え置いてきた非課税限度枠を引き上げる。企業が従業員に提供する食事代の非課税枠を約40年ぶりに上げ、月7500円とする。
税負担は主に高所得者で増える。富裕層ほど所得税の負担割合が下がる「1億円の壁」の是正策を巡っては、追加の税負担が生じる年間所得の目安が年30億円から年6億円に下がるよう制度改正する。税率も22.5%から30%に上げる。
企業向けの租税特別措置(租特)と呼ぶ政策減税の縮減は道半ばとなった。賃上げ促進税制は大企業については25年度末での除外を決めたものの、中堅企業は26年度末と1年遅らせる。
研究開発に取り組む企業の法人税を減らす研究開発税制では海外の企業・大学に委託した分の減税に制限をかける一方、人工知能(AI)や量子などの先端分野に減税を上乗せする仕組みを新たに設ける事となった。
野党との協議などを要する項目は結論を先送りした。そのうちの一つが所得税の非課税枠「年収の壁」の扱いだ。自民党の小野寺、国民民主の古川両税制会長は12日会談し、壁の引き上げをめぐり協議した。非課税枠の上げ幅、減税対象拡大の2項目が焦点になる。自民党は非課税枠を160万円から178万円に上げる案を検討している。過去2年間の物価上昇などに合わせて上げ、国民民主が掲げる178万円をめざす。
現行制度は年収に応じて非課税枠があり、年収200万円以下だと最も大きい160万円の非課税枠を得られる。国民民主は最も大きい非課税枠の対象を増やすため要件を年収200万円以下から大幅に引き上げるよう提起する。
自動車取得や保有時にかかる税や高校生らの親の扶養控除見直し、防衛力強化を目的とした所得税の引き上げを巡る議論も翌週に持ち越した。結論次第では減税色が一段と強まる可能性がある。減税策が目立つのは高市早苗政権が参院で過半数議席を持たず、減税を求める野党の意向をくむ必要があるからだ。「責任ある積極財政」を掲げる高市氏のもと「インナー」と呼ぶ税調幹部の顔ぶれや税調の運営方針が変わったことも大きい。
(参考 日経新聞 令和7年12月13日より)
来年度税制大綱大詰め 家計・企業の減税ずらり
