外国人共生 ルール整備へ

法務省は外国人との共生に向けて中長期の受け入れ施策の検討を進める。基本方針を決めるため出入国在留管理庁にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げた。地域住民との摩擦を緩和する策に加え、受け入れ人数に一定の上限を設ける量的規制の是非を議論する。

人口減少に伴う人手不足が各地で進み、外国人への労働依存は加速している。政府は専門的な技能をもつ外国人を積極的に受け入れる方針を示し、今後も在留外国人の増加を見込む。一方で、あつれきも一部で顕在化する。7月の参院選は外国人政策が争点の一つとなった。政府は2025年度、社会保険料の不払い対策や経営・管理ビザの要件厳格化などの方策を打ち出している。

PTの発足は8月に鈴木法相が打ち出した。庁内の職員30人規模で構成する。地元住民らと共生できる環境の整備を目指す。鈴木氏は「ルールを守らない外国人には厳しく対処する」とも話す。
法相の私的勉強会の8月の中間報告書をたたき台にする。検討にあたっては経済成長や産業政策、治安など7つの論点が必要だと整理した。勉強会は入管庁の幹部や専門からで2月に発足した。

報告書は従来の外国人政策を「戦略をたてた上での一貫した方針ではなく対症療法的だった」と振り返った。政府全体で中長期的な視点に立った外国人受け入れの基本的なあり方を検討する時期に来ていると指摘した。

PTは日本語教育や社会習慣を学べる体制を整えるプログラムを検討の俎上に載せる。地域住民らとの摩擦を減らす狙いだ。外国人比率が比較的高い地域の実態や取り組みについて調査・研究を進める。

全国知事会も7月、政府に外国人への日本語教育の充実を提言した。海外には公用語を学習するための公的支援制度を持つ例があるものの、日本は地域のボランティアが支えている側面がある。文部科学省の調査によると日本語教室がない自治体も多い。

指摘勉強会の報告書は、総人口に占める外国人比率が10%台に到達する時期を従来想定していた2070年代より「早まる可能性がある」と記した。24年末時点の在留外国人数は380万人近くで総人口の3%程度だ。報告書は「外国人比率が高まった際の社会への影響や外国人の量的マネジメントについて議論がされてこなかった」とも問題提起した。

PTは極端に外国人が増加した場合、時限的に受け入れ制限をする量的規制についても議論する。現状、受け入れ数の上限がある例は特定技能制度などの一部の在留資格に限られる。入管庁は「あくまで選択肢の一つ」というスタンスだ。鈴木法相は「運用上の実施可能性やタイミングを考えなくてはいけない」と話す。PTはまずは諸外国の事例を調査し、上限を設ける場合の影響を検証する。

中長期的な政策の策定にあたっては、他省庁も巻き込み政府全体で議論できるかも課題だ。入管庁の幹部は「テーマが幅広いので他省庁の意見をしっかり聞きながら検討する必要がある」と語る。
政府は7月、外国人施作に省庁横断で取り組むための事務局を内閣官房に設置した。入管庁や厚生労働省、総務省などの各省庁が参画する。施策の「指令塔」の役割が期待されるが、現状は社会保険料の未払い対策など目下の課題への対処が中心となっている。

(参考 日経新聞 令和7年9月11日より)