ふるさと納税、集めすぎ?返礼品競争 ひずみ生む

ふるさと納税の寄付額が多い地方自治体で、貯金にあたる基金が急増している。上位5市町村の基金残高は過去5年間で計8割増えた。北海道紋別市は5倍近くになった。それぞれ単年度では使いきれないほどの寄付を集め続けているためだ。返礼品をてこにした競争のひずみが大きくなっている。

ふるさと納税は居住地以外の自治体への寄付額のうち2000円を超える部分を住民税や所得税から控除する制度。自治体の多くは寄付金をいったん基金に積み上げ、翌年度以降の事業に充てる。使い道が見つからなければ残高は増えていく。2024年度までの5年間で最も多く寄付を受けたのは宮崎県都城市で848億円。移住の受け皿整備などを進めており、一般会計予算は25年度に当初ベースで初めて1000億円を超えた。基金残高も23年度末に586億円と、18年度末から55%増えた。担当者は「ふるさと納税の影響が大きい」と認める。

北海道紋別市は5年で計804億円の寄付があった。400億円に満たない一般会計規模に照らして巨額で、小中学校の修学旅行を無償化するなどの予算の使途を広げても残る分が積み上がる。基金残高は4.8倍の270億円に達した。北海道の白糖町、根室市、大阪府泉佐野市までの寄付額トップ5の基金は5年間で計81%増えた。上位の顔ぶれは毎年ほとんど変わらない。

こうした自治体は高水準の寄付収入を安定して得ながら、国から地方交付税も受け取り続けている。寄付はあくまで税収とは別の臨時の収入という扱いで、どんなに多くても財政力があるとはみなされないためだ。交付税は一般に必要な支出を自前の税収でまかなえない自治体に配る仕組みになっている。

異形の寄付制度の広がりに古くからの地方財政の運用ルールは対応できていない。財務省の幹部は「ふるさと納税は自治体にとっても最も効率的な稼ぎ方になっている」と話す。財務省は23年、財政制度等審議会の分科会で、ふるさと納税による寄付を税収と同等の一般財源として扱うことも検討すべきだと問題視した。実現した場合、寄付の多い自治体は交付税の対象から外れたり額が減ったりする可能性がある。

地方税財政を所管する総務省の幹部も「使いきれないほどの寄付を集めるのは問題がある」と認める。これまでの規制は返礼品ルールの厳格化にとどまっている。ニッセイ研究所の高岡主任研究員は「使い道や必要額を明示させ、募集できる金額に上限を設けるといった踏み込んだ対策が必要だ」と指摘する。

(参考 日経新聞 令和7年10月10日より)