インフル 変異型が猛威

インフルエンザの新たな変異型の感染が国内で広がっている。H3N2型のサブクレードK(K亜系統)と呼ばれるタイプで、既存の免疫が効きにくい可能性がある。専門家は重症化しやすい小児や高齢者のワクチン接種や発熱時の受診を呼びかけている。

インフルエンザウイルスは大きく分けるとA〜Dの4種類あり、ヒトでは主にA型とB型が流行する。変異しやすいA型はウイルス表面に突き出たたんぱく質の組み合わせによって「H1N1型」「H3N2型」などがある。

厚生労働省によると、全国約3000の医療機関から10〜16日に報告された全国のインフルエンザの感染者数は14万5526人と前週に比べ1.73倍に急増した。1機関当たりの感染者数は37.73人と警報レベルとされる30人を上回った。今季は昨季より早い10月に流行入りした。昨季の流行入りも例年の12月より1ヶ月ほど早かった。

インフルエンザウイルスに詳しい東京大学の河岡特任教授は「感染者急増の一因はサブクレードKの出現が関係している」と指摘する。国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所によると、10月13日から11月16日(第42週から46週)に検出されたインフルエンザはA型の一種であるH3型が86%を閉めた。さらに、これまで国内で流行したH3型の13株を解析したところ、12株はサブクレードKだったという。東大の河岡特任教授らが医療機関から提供されたH3型の検体を調べると、95%以上がサブクレードKだった。

サブクレードKは従来のH3N2型から派生した変異型で、少なくとも7カ所の部位が変化しているとの報告がある。5〜6月頃に現れ始めたとされ、英国では8月下旬以降の検出されたH3N2型の約9割がサブクレードKだった。

変異による感染力への影響は詳細にはわかっていないものの、英国の報道によると1人の感染者が何人にうつすかを示す実効再生産数は今シーズンのインフルエンザは1.4と推定され、例年の1.1〜1.2を上回っているという。

感染研インフルエンザ研究センターの渡辺室長は、「変異によって既存の免疫の反応性がよくない恐れがある」と指摘する。変異には免疫に影響を与える部位が含まれており、ワクチンや過去の感染で得られた免疫をすり抜ける可能性がある。

サブクレードKの病原性の詳細はわかっていない。一般にH3N2型の症状は通常のインフルエンザと同様に、発熱や咳、倦怠感や筋肉痛が起きる。サブクレードKに対するワクチンの効果は分かっていないが、一定の効果はありそうだ。英健康安全保障庁などが11月に発表した査読前の論文によると、英国のワクチンは2〜17歳について入院を防ぐ効果が70〜75%、18歳以上は30〜40%だった。例年のワクチンと同等の効果という。感染研の渡辺室長は「ワクチン接種からあまり時間がたっていない時期のため、免疫状態が良かった可能性がある。」と指摘し、効果を検証するには今後のデータも分析する必要があるとみる。

また、英国は日本と使っているワクチンが異なることもあり、単純比較はできない。神奈川県警友会けいゆう病院(横浜市)の菅谷名誉参事は「日本のワクチンも一定の重症予防効果は期待できるだろうが、どの程度の効果があるかは不明確」との指摘する。

インフルエンザの流行は今後も広がる可能性がある。菅谷名誉参事は「特に小児や高齢者、基礎疾患のある人はワクチン接種を推奨する。発熱異変があれば早めに医療機関に受診し、抗ウイルス薬を服用してほしい」と呼びかけている。

(参考 日経新聞 令和7年11月28日より)