米メタの写真・動画共有アプリ「インスタグラム」の利用者が世界で30億人を超えた。2012年の買収以降、ユーザーの基盤拡大と機能拡充を続けて広告収入で稼ぎ頭となった。近年は「TikTok(ティックトック)」風のショート動画などで利用時間を伸ばす半面、青少年の安全対策や投資詐欺対策など社会的な責任も高まっている。メタ日本法人の味沢代表取締役は10月7日のメディア向けの説明会で、15周年を迎えたインスタの歴史を振り返って「写真共有アプリとして登場し、利用者のニーズに応じて大きく進化してきた」と強調した。
フェイスブック(現メタ)は12年にインスタグラムを10億ドル(当時約800億円)で買収した。利用者拡大とともにビジネス活用も広がり、17年には「インスタ映え」が日本で流行語大賞を受賞した。インスタ事業責任者のアダム・モッセーリ氏は9月下旬、月間利用者が30億人を超えたと投稿した。18年の10億人達成発表から4年で20億人を超え、さらにその3年後に30億人に達した。同氏は「最近の成長はリール(縦型ショート動画)、DM(ダイレクトメッセージ)、(表示順を決める)アルゴリズムのおかげだ」と要因を3つ挙げた。
「リール」はTikTokに追随してメタが20年に始めた。指先の動き一つで次から次へと動画が表示される。24年時点でインスタの利用時間の50%をリールが占め、動画視聴時間は年率20%のペースで長くなっているという。
インスタは競合アプリと比べても利用時間の伸びが大きい。米調査会社センサータワーの25年8月のデータによると、主なソーシャルアプリ6種類のうち、1人あたり利用時間の伸び率は21年比で36%増と最も高かった。
メタにとって月間利用者30億人超えはフェイスブック、ワッツアップに次いで3つ目となる。米調査会社のイーマーケターは、インスタグラムの米国の広告収入は25年に371億ドル(約5兆4500億円)と米国内の広告収入の半分を超すと予測しており、祖業のフェイスブックを超えて稼ぎ頭になっている。
マーケティング支援のアタラ(横浜市)の杉原CEOは「インスタは新機能を搭載しつつ、ユーザー体験を損なわずに広告で収益化のバランスを取るのがうまい」と話す。メタは生成AI(人工知能)を使った広告作成・配信にも取り組む。
インスタの影響力の広がりともに社会的責任にも厳しい目が向けられている。米国では21年のメタ社員の内部告発を機に若者のメンタルヘルスに悪影響を与えるとの批判が高まり、23年には米42州・地域の司法長官がメタを提訴した。同社は若者の安全対策として、親がコントロールできる機能や未成年者用アカウントで機能を絞る設定を可能とした。
国内ではインスタを通じて投資詐欺など犯罪に巻き込まれる利用者も多い。警察庁によると、24年に判明したSNS型投資詐欺で、広告経由、DM経由の被害でいずれもサービス別ではインスタが最多だった。味沢氏は7日の説明会で詐欺広告対策について「海外の大規模組織の犯行が多く、アカウント削除などの取り組みを強化している」と述べた。
(参考 日経新聞 令和7年10月8日より)
インスタ利用 30億人突破
