相続や就活では子がいない夫婦も注目されている。何の準備もしないまま、どちらかに介護が必要となったり、亡くなったりすると財産を自由に使えなくなることがある。遺言などの手続きは早めに取り組みたい。
子がいない夫婦では、夫が亡くなると妻は遺産を100%もらえると思いがち。だがそれは夫に親や兄弟などがいない場合だけだ。いれば相続人になるので原則、妻は親族たちと遺産分割協議をしなければいけない。
相続時のトラブルを避けるにはまず法定相続人の有無を知ること。そして遺言を書いておくことである。また保有する不動産の名義も確認したい。自宅や別荘、先祖代々の土地などだ。住み慣れた家でも親から受け継いだものはきょうだいと共有になっていることがある。その場合、夫の死後に妻が家を売って高齢者施設に移りたいと思っても、きょうだいの同意なしに売ることはできない。その場合、生前に相手の持ち分を買い取ることも考えたい。
また受け取る相手が先に死亡した場合に備える「予備的遺言」も必要だ。遺言者(夫)が死亡する以前に妻が死亡したときには、甥に相続させるといった内容だ。遺言通りに手続きを行る執行者も指定する。おふたりさまは不慮の事故に備え早めに遺言を書いておくことが肝要だ。
都内に住む80代のBさん夫婦は、そろって50代の妻の姪を受任者にして任意後見契約を結んだ。子がいないBさん夫婦は妻が転倒・入院した際に不安になり、退院後に任意後見契約を結んだ。高齢の二人は認知症や死亡によって財産管理だけでなく、入院や介護、施設の入所など生活の手続きができなくなることが心配だった。遺言作成などもセットにしたので契約だけで100万円近くなったが、頼れる相手ができ安心している。
任意後見は契約者が認知症になったときなどに事前に決めた後見人に生活や財産管理の事務を行ってもらう。契約者名義の不動産は配偶者でも売れないが、後見人は契約に沿って売却できる。子がいない夫婦は、互いを後見人にしようと考えるケースが少なくない。ただ、年齢が近ければ、お互いを後見人にするのは避け、甥姪や士業ら専門家が候補になる。
判断力はあっても足腰が弱ったり、施設に入ったりして銀行に行くことが難しくなったら「財産管理等委任契約」を葬儀・納骨などの死後の手続きは「死後事務委任契約」を結ぶことが重要だ。
いろいろとみてきたが、子がいない夫婦は、よく自分の周辺の親族の状況を確認して、早めに手を打っていくことが重要である。
遺言以外の相続を実現する法的手段(遺言その3)
高齢期の財産等管理、契約で備え
(参考 日経新聞 令和7年8月23日より)
子のいない夫婦の相続のポイント
