アプリストアなどスマートフォンのソフト分野での競争を促すスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)の全面施行が12月18日に迫る。米アップルと米グーグルが寡占してきた市場に日本のアプリ事業者は風穴を開けれるだろうか。
アップルとグーグルは基本ソフト(OS)、アプリストア、ブラウザーなどの中核サービスを寡占し、自社サービスをデフォルト設定してきた。アプリ配信ではストアを握ることで、アプリ事業者に自社の課金システムの利用などを事実上強制できた。
新法施行をにらみ、消費者の反応を探る動きが出始めている。コーエーテクモゲームスは10月、2タイトルについてアプリ外課金ストアの提供を始めた。アプリ外ではゲーム内通貨を増やすなどの特典を付けた。コーエーテクモホールディングスの西村常務執行役員は「アップルの審査を受けずに済むため、アイテムなどの商品設計の自由度があがり、反応も逐次に伝わる」と話す。現行のアップルの規約に配慮し、アプリから課金ストアに直接誘導はしていないが、SNSでの告知などを通じ利用は広がっているという。
一線を越えたアプリ事業者もある。ある国内ゲーム会社は2月、自社のウェブショップに遷移するバナーでアップルの課金システム外に誘導するようにした。アイテム購入などで30%の手数料を払わなずに済む。「アップルの規約違反と承知していたが、新法施行を控えアップルや顧客の反応を試した」(担当者)アップルからは「すぐに『注意』がきた」ため、アプリ利用停止のリスクを考慮し1カ月で誘導はやめた。
スマホ新法を所管する公正取引委員会は3月、アップルとグーグルなど3社を規制対象の「指定事業者」とした。新法施行でアプリ事業者による外部決済への誘導を禁じる行為はできなくなるが、制度の実効性は未知数だ。指定事業者はセキュリティー確保などを自らの行為を「正当化」する抗弁に使えるためだ。実際にアップルは、スマホ新法が「プライバシーやセキュリティの保護を損なうなど、新たなリスクを生じさせかねない」と釘を刺す。
池田弁護士は「スマホ新法に『正当化事由』が明記されたことで公取委の執行は抑制される」とみる。早稲田大学の土田名誉教授は「指定事業者がセキュリティリスクなどを理由に外部システムの利用を妨害した際に、公取委が技術的な点を十分に理解し対応できるかが重要になる」と指摘する。
事業者の覚悟も問われる。米国では米エピックゲームズがカルフォルニア州の不正競争防止法違反などを根拠にアップルを提訴し、規約も見直された。スマホ新法でもアプリ事業者が直接裁判所に訴えられる。東北大大学院の伊永教授は「事業者は当局任せにせず自ら提訴するなどし、新法を武器として活用するのも選択肢だ」と話す。
(参考 日経新聞 令和7年11月30日より)
スマホ新法、12月に全面施行
