三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客が預けた金塊や現金を盗んだとして、窃盗罪に問われた元行員、山崎由香理被告(47)の判決公判で、東京地裁は10月6日、懲役9年(求刑懲役12年)を言い渡した。判決は「短絡的に犯行を繰り返した経緯にくむところはなく、厳しい避難を免れない」と断じた。
公判で山崎被告側は起訴内容を認めつつ、本人が反省の態度を示し、実態解明にも協力したなどとして懲役5年が相当と訴えていた。判決理由で小野裁判官は起訴分だけで3億9千万超の巨額被害が出たことを重視。支店内で貸金庫の管理責任者だった被告が金庫の「予備鍵」を使用するなどして窃盗を繰り返したもので「安全と信じて貸金庫を利用した被害者らにはなんら落ち度はない」とした。
銀行側による予備鍵の補完体制については「更なる工夫があり得たとの指摘も成り立つ」としつつ、「限られた者しかできない手口でセキュリティを無力化し、(犯行を)繰り返した事こそが強く非難されるべきだ」とも指摘した。
個人再生手続きに追い込まれ、いったんやめたはずの外国為替証拠金取引(FX)や競馬を小遣い稼ぎ目的で再開し、損失の穴埋めのため貸金庫内の金品に手をつけるなど「犯情はまれに見る悪いものだ」と断じた。被告が同行の調査や警察捜査に対し、余罪も含めて包み隠さず説明した事で被害回復につながった点は認めつつ、同行が被告から回収できた金額は一部にとどまるなど「過大に評価することはできない」として実刑を免れないと結論づけた。
判決などによると、山崎被告は2023年3月〜24年10月、勤務していた練馬支店と玉川支店の貸金庫から顧客6人が預けていた約3億3千万円相当の金塊や現金約6000万円などを盗んだ。事件は24年10月に貸金庫の利用者から預けた中身がなくなっているとの申告を受け、三菱UFJ銀側が調査に乗り出したことで発覚した。同行は同11月に山崎被告を懲戒解雇し、同12月に警視庁へ刑事告発した。
今年1月には約70人の顧客が約14億円の被害を受けたと公表。検察側が公判で提出した証拠によると、7月末時点で同行によって11億円の補償がされたという。被告は1999年に一般職として入行。その後、総合職に転じ、20年4月に江古田支店のお客様サービス課長に就任、貸金庫に関する業務の管理責任者を務めるようになった。22年6月に江古田支店が練馬支店に統合され、同支店の営業課長や支店長代理となった後も引き続き貸金庫業務の管理責任者を務めていた。
(参考 日経新聞 令和7年10月7日より)
貸金庫窃盗 懲役9年
