ニューデイズ、無人店に活路

JR東日本系のコンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」が、JR東の駅以外への出店に力を入れている。低コストで運営できる無人店舗をローカル線の駅舎内に出し、大手チェーンが手つかずの市場を開拓する。規模では大手に見劣りするなか、JR東が進める「Suica(スイカ)」経済圏を後ろ盾に競争力を高める。

長野県のローカル線、しなの鉄道三才駅(長野市)。昔ながらの小さな駅舎内の改札近くには、真新しい商品棚と、キャッシュレスに対応するセルフレジが置かれている。6月に開業したニューデイズの小型店だ。畳2枚分(約3平方メートル)の売り場には、菓子や生活雑貨、土産品など約100品目が並ぶ。2日に1回、アルバイトの近隣住民が商品を補充する。売り場の様子は防犯カメラで監視する。
同社は列車を待つ利用客のニーズを取り込んでいる。「以前は駅近くにコンビニがなかった。部活帰りの小腹がすいた時にお菓子を買えてうれしい」登下校に同駅を利用する田中陽美さんは話す。売り上げは1日3000〜5000円だが、渡辺裕樹駅長は「他の駅からも導入したいとの声を聞く」と語る。
JR東など鉄道各社は乗降客へのサービスの一環として、自前のコンビニや売店を駅構内に構えていた。既に多くの鉄道会社がセブンーイレブン・ジャパンなど大手と提携し、チェーン店に切り替えている。

東急電鉄は2005年ローソンと組み、売店とコンビニの融合店「LOWSON +toks」を広げる。小田急電鉄は、18年から順次、自社の売店をセブンイレブンに切り替えて48店舗を展開する。22年には南海電気鉄道が「アンスリー」をセブンイレブンに転換すると発表した。

JR東系のニューデイズは他の電鉄系コンビニとは一線を画し、JR東の駅構内を中心に670店を展開する。JR東の沿線内にとどまっていては成長余地が限られるなか、注目するのは大手チェーンの手つかずのローカル線や、JR東の駅以外の立地だ。JR東の沿線外にある19店のうち、約7割を占める。25年には都営新宿線の市ヶ谷駅など2店を出した。ニューデイズを運営するJR東日本クロスステーションの高橋常務は「ローカル線や地下鉄などの駅ナカにも出店余地がある」と説明する。

今後の出店のカギを握るのが、JR東の交通系ICサービス「スイカ」との連携だ。24年からスイカをかざして入店できる無人店舗の出店を開始し、現在は首都圏を中心に6店舗展開している。完全無人店も約70店舗に達している。無人店舗は都市部に比べて人手を集めにくい過疎地でも収益を確保しやすくなる。スイカ入店は防犯機能も高まるため、従業員がいなくても営業時間を延ばせる。

JR巣鴨駅の山手線ホームにある店舗を7月からスイカ入店の無人運営に切り替えた。平日の営業時間が6時間延び、休祝日も営業可能になったため売り上げが1割強増えた。
JR東は、スイカを核に鉄道と生活サービスを組み合わせる「スイカ経済圏」を掲げる。28年度にはスイカを使ったサブスクリプション(定額課金)サービスを始める。
毎月一定額を支払うことで運賃を割り引いたり、駅ナカや駅ビルのクーポン券を付与したりするサービスを想定する。ニューデイズもサブスクとして使えるようになれば、割引施設などを通じて来店頻度の向上が期待できる。

(参考 日経新聞 令和7年9月12日より)