日本を訪れる中国人で「おひとりさま」の比率が高まっている。2025年4〜6月期はおよそ4人に1人が「自分ひとり」での来日となり、比率は19年通年から2倍弱に高まった。中国人の月間訪問数が100万人を超すなか、「爆買い」だけでなく、多様な需要に応えるサービスが必要になりそうだ。
観光庁が四半期ごとに実施するインバウンド消費動向調査で観光目的の訪日客に同行者の有無や属性を聞いた質問項目の時系列での推移を調べた。日本に「自分ひとり」で来たと答えた中国人客の比率は4〜6月期23.5%と、1〜3月期(22%)を上回った。19年通年の実績は12.2%、24年は21%だった。「家族・親族」や「職場の同僚」と訪日する比率は減った。他の国・地域とくらべてもおひとりさまで日本を訪れる比率は高い。
中国人のおひとりさまは「20代〜40代の女性が多い」中国人客全体でみても4〜6月期は6割強が女性だった。全世界では5割程度にとどまる。地理的に比較的近く、安全で清潔な日本は目的地として人気が高い。
中国の構造的な要因も背景にある。24年の結婚届け出件数は610万組と、13年の1346万組から半数以下に減った。経済的な負担から結婚を避ける若者が目立ち、現地でも単身者向けにターゲットを絞った外食サービスが人気を集めている。
中国人観光客というと、団体ツアーに家族などで参加して家電や化粧品を大量に購入する「爆買い」で知られる。中国人客の費目別の消費額では「買い物代」が24年に43.1%を占める。今後は個人客の増加が続くようならば「コト消費」など買い物代以外の出費が増えてくる可能性がある。
日本政府観光局(JNTO)が9月17日公表した8月の訪日客数によると、日本を訪れた中国人客は101万8600人だった。単月としては新型コロナウィルス禍後初めて100万人を上回った。1〜8月で671万1600人と、前年同期比では46.1%増えた。19年の同じ時期(658万人)も上回った。
経済の低迷や厳格な新型コロナ対策で他の国・地域よりも戻りが遅れていたものの、足元で本格的な回復を示す。中国人客は1〜8月の訪日客のうち国・地域別で最多で、2割超を占めた。
旅行の手配方法別に中国人客全体の動向を見ると、19年は団体ツアーが3割、個別手配が6割だった。25年4〜6月には個別手配が9割弱まで高まった。みずほリサーチ&テクノロジーズの坂中氏は「リピーターの比率が徐々に高まっており、今後も中国人の客数は緩やかな回復が続く」とみられる。
8月の訪日客数は全体で342万8000人だった。8月としては過去最多を更新した。東アジアや欧米などから学校の休暇にあわせた来訪が多かった。1〜8月の累計では2833万3600人に達した。中国以外の8月の動向では、台湾からが62万700人、スペインから3万2000人が訪れ、単月としてはそれぞれ過去最多を更新した。韓国や米国、ベトナム、英国などからの客数も8月としては最多だった。香港からの客数は前年同月比8.3%減の22万6100人だった。SNSを中心に日本で大災害が起こるとのデマが広がった影響が残った。シンガポールからも17.3%減の2万500人だった。前年は8月末から始まった学校の休暇が9月からにずれた。
(参考 日経新聞 令和7年9月18日より)
