厚生労働省は介護施設の事業者に訪問介護への参入を促す。過疎地を中心とした全国約100の自治体は、訪問事業所が一カ所もない空白地となっている。こうした地域にある通所施設が訪問介護の機能も担えるよう、アドバイザーの派遣や初期費用の補助を行う。
厚労省が自治体ごとに介護事業所を検索できる「介護サービス情報公表システム」のオープンデータを調べたところ、訪問事業者が一カ所もない自治体は2024年末時点で約100町村あった。全国1741市区町村の約6%を占める。
総務省の住民基本台帳に基づく人口動態調査(25年1月1日時点)で人口が322人だった奈良県野迫川村や355人の高知県大川村など過疎地が目立つ。約100町村のうち8割ほどの自治体には、要介護認定を受けた人が通って食事や入浴などの支援を受ける通所事業所があった。既存の通所施設が訪問介護も提供できれば、高齢者はサービスを利用しやすくなる。26年度予算の概算要求で訪問介護への参入支援策を盛り込んだ。
自治体から新たに訪問事業者として指定を受けるには、常勤に換算して2.5人以上の訪問介護員を配置するといった基準を満たす必要がある。訪問事業所で管理者の経験がある人などをアドバイザーとして都道府県に配置し、指定取得や人材育成を支援してもらう。
利用者宅への移動に必要な電動自転車やユニホームの購入に加え、ホームページの改修や地域住民向けの広告の費用なども助成する。事業を始めてから6カ月間、もしくは1カ月あたりの訪問回数が300回に達するまでの間は、訪問1回につき一定額を補助する。訪問事業者がゼロ、もしくは事業所と利用者宅の距離が離れていて訪問サービスの提供が困難な自治体を対象とする。
訪問事業者の経営状況は厳しい。東京商工リサーチによると、25年上半期(1〜6月)の倒産件数は45件だった。介護保険制度が始まった00年以降で最多となった。訪問介護の報酬は利用回数によって増減する出来高制だ。人口減少が進む地域では安定した収益を確保しにくい。社会補償審議会の介護保険部会では報酬体系を見直す議論が進む。利用回数に左右されない1か月ごとの定額制を導入し、過疎地の事業者が出来高制と選択できる仕組みを検討している。
(参考 日経新聞 令和7年10月10日より)
訪問介護「空白」100自治体
